飯田史彦(いいだ・ふみひこ)は、福島大学経済経営学類教授・経営学博士(神戸大学)。経営学者でありながら、Brian Weiss・Raymond Moodyらの臨死体験・前世退行研究を本格的に紹介した先駆者。本書(原書1996/PHP研究所、改訂版1999)は、累計150万部超のベストセラー。”科学と霊性“の橋渡しを、経営学者という独自の立場から論理的に行った稀有な一冊。
“意味“は、もらうものではなく、自分から世界に与えるもの——本書全体を貫くトーン。
本書の構成と、章ごとのポイント
第1章 死後の世界の科学的研究
- Raymond Moody『かいまみた死後の世界』、Brian Weiss『前世療法』、Elisabeth Kübler-Ross『死ぬ瞬間』など、米国の臨死体験・前世退行研究の系譜を、経営学者の視点で紹介。
- “あの世がある“と断言するのではなく、”そういう報告が世界中で繰り返されている“という事実から始める姿勢。
第2章 生まれ変わりの仮説
- Ian Stevenson(バージニア大学医学部教授)の生まれ変わり研究——子どもが前世の記憶を語る2,500件以上の事例研究。学術論文として国際的にも査読を経た研究。
- 飯田は、これらの研究を”否定する材料がない“という慎重な立場で紹介する。
第3章 人生の意味とは何か
- “人生に意味はあるか”という問いに、飯田は“自分で与える意味しかない”と答える。Viktor Frankl『夜と霧』のロゴセラピー(意味療法)とも共鳴。
- “生きがいは”(誰かから)もらうもの”ではない、”(自分から世界に)与えるもの“——本書のタイトルそのもの。
第4章 苦しみと意味
- 病・別離・失敗——人生の苦しみに”意味”を見出す心理学。Posttraumatic Growth(心的外傷後成長)の研究と同じ系譜。
- “すべての出来事に意味がある“という素朴な楽観ではなく、”意味を見出す力“を訓練する姿勢。
第5章 自分と世界への関わり方
- “他者貢献“が、自分の生きがいを生む。Adlerの個人心理学、Maslowの自己超越にも通じる。
- 仕事・家族・地域——どんな場でも、自分にできる貢献を見出す。
世界の隣接領域と並べて読む
本書のテーマは、Viktor Frankl『Man’s Search for Meaning』(『夜と霧』)、Raymond Moody『Life After Life』、Brian Weiss『Many Lives, Many Masters』、Ian Stevenson『Children Who Remember Previous Lives』、Bessel van der Kolk『The Body Keeps the Score』、Robert Emmons『感謝の力(The Psychology of Gratitude)』などと地続き。本書はそれらを”日本の経営学者の視点“で再構成した位置。
YouTubeで「Brian Weiss past life regression」「Ian Stevenson reincarnation」「Viktor Frankl logotherapy」と検索すると、英語圏の研究者の本人インタビュー・講演が観られる。本書を読んだ後、これら動画に進むと、世界視点でこのテーマがどう議論されているか分かる。
明日からの3つの問い
1. 自分は”何のために生きているか“を、紙に書く
本書を読んだ後の自然な作業。難しく考えず、いま思いつく言葉で書く。半年後に読み返すと、自分の変化が見える。
2. 他者貢献の場面を、1日1個振り返る
夜寝る前に、”今日、誰かのためにできたこと”を一つ思い出す。それが意味の源、というのが本書の核心。
3. 苦しみを、“意味として翻訳する”練習をする
過去の辛い体験を、”あれがあったから今がある”と再解釈する。Posttraumatic Growthの心理学が裏付ける、強力なリフレーミング。
関連書と、読む順番
- 本書(まず日本人向け入門)
- 『夜と霧』Viktor Frankl(意味療法の古典)
- 『Many Lives, Many Masters』Brian Weiss(前世療法の決定版)
- 『Life After Life』Raymond Moody(臨死体験研究)
読むときに、気をつけたい点
本書は“科学と霊性の橋渡し”を試みた本。科学的に厳密にエビデンスを評価したい読者にとっては、引用される研究の方法論に物足りなさを感じる場面もある。逆に、宗教的な答えを求める読者には、本書の冷静なトーンが物足りない可能性も。“答えを与える本”でなく“問いを深める本”として読むのが正解。
こんな人に合いそう
- 大切な人を亡くして、意味を探している人
- “なんのために生きているか“を、改めて考えたい中堅層
- スピリチュアルに興味はあるが、宗教には抵抗がある人
おわりに
30年以上読まれ続ける、日本の生きがい論の代表作。“生きがいは与えるもの”という発想は、現代の自己実現志向に疲れた人に、静かに響く。本棚に常備し、人生の節目で読み返したい一冊。



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