『引き寄せる すごい「家」』ケルマデック/ひすいこたろう|住まいが「運」を変えるという仮説に向き合う (2024)

『開運はおうちが8割! 引き寄せるすごい「家」』ケルマデック/ひすいこたろう 表紙 生き方・人間関係
この記事は約5分で読めます。

『引き寄せるすごい「家」』は、「住んでいる家を整えると、運が開けていく」という、少し不思議なテーマの本です。著者は、スピリチュアルな分野に詳しいケルマデック氏と、ベストセラー作家のひすいこたろう氏。二人の対話形式で、やわらかく語られていきます。玄関は運気の入り口、水回りは家の「巡り」をつかさどる——そんな見方で、家のあちこちと、住む人の心や運とのつながりを読み解いていきます。

「運」と聞いて身構える人もいるかもしれません。けれど、本書を貫いているのは、「家は、住む人を映す鏡だ」という、案外まっとうな考え方です。心が乱れていると、部屋も散らかる。逆に、家を整えると、心まで整っていく。スピリチュアルな衣の下には、暮らしと心の、確かな結びつきが横たわっています。玄関、水回り、台所のうち、いま一番見たくないのはどこですか?

家は、住む人の心と暮らしを映す鏡だ。
家を整えることは、運を待つことではなく、自分の毎日を、自分の手で整えること。

著者と本の立ち位置

著者のケルマデック氏は、目に見えないエネルギーや、心のあり方をテーマに、幅広く発信してきた書き手です。もう一人のひすいこたろう氏は、前向きな名言やものの見方を、やさしい言葉で届けることで人気を集めてきた作家。本書は、その二人が語り合う、対話の形で進みます。

「家のここを、こうしてみたら?」の連続

だから本書は、教科書のように上から教えてくるのではなく、友人どうしの会話を、横で聞いているような心地よさがあります。むずかしい理屈はほとんどなく、「家のここを、こうしてみたら?」という、具体的で軽やかな提案が、次々と出てくる。読んでいるうちに、自然と「ちょっと片付けてみようかな」という気持ちになってきます。

「家と自分はリンクする」という見方

本書の中心にあるのが、「家の各場所は、住む人の心や体と、対応している」という見方です。たとえば、玄関は、人でいう「口」。運気を迎え入れる入り口だから、ここが散らかっていると、良い流れが入ってこない、と語られます。トイレや洗面所などの水回りは、家の「巡り」をつかさどる大切な場所。

台所のまな板にまで、意味がある

面白いのは、台所のまな板のような、ごく身近な道具にまで、意味が与えられているところです。まな板は、健康運や家庭運を支えるもの。そこが汚れていると、家族の調子にも影響する——そんなふうに、家のひとつひとつが、暮らしや心とつながっているものとして描かれます。スピリチュアルな主張ではありますが、「身のまわりを大切に扱う」という姿勢そのものは、すっと胸に入ってきます。

朝の光が引き戸から差す玄関。三和土に桟の影が長く落ち、革靴が一足だけ向きをそろえて置かれている

「運」の真偽は脇に置いても、効く理由

正直に言えば、「玄関を整えると運が上がる」という主張を、そのまま事実として受け取るかどうかは、人によります。けれど、たとえ「運」の部分を信じなくても、この本のすすめることは、ちゃんと効きます。なぜなら、家を整えると、実際に、心と暮らしが変わるからです。

あなたが「運」と呼ぶものを、言い換えてみる

散らかった部屋は、知らないうちに私たちのストレスになっています。逆に、玄関がきれいだと、帰宅した瞬間に、ほっと気持ちがほどける。環境が、心の状態を静かに左右する——これは、スピリチュアルというより、誰もが経験で知っていることです。家を整えれば、気分が上向き、行動も軽くなる。すると、良い出来事を「引き寄せやすい」自分になる。「運」という言葉を、「自分が動きやすくなること」と読み替えれば、本書の効き目は、ぐっと腑に落ちます。

午後の斜光を受けた水面が、土壁に揺れる光の紋を投げている台所の木の桶。家の巡りを整えるイメージ

駅近に越して、時間が増えた

住まいが変わると流れが変わる、という本書の主張には、地味ながら確かな実感があります。これまで私は、駅から少し離れた場所に住むことが多かったのですが、最近、駅の近くに引っ越しました。すると、都内へ出るときの移動時間が大幅に短くなり、以前より気軽に動けるようになったんです。

ただ利便性が上がっただけ、と言えばそれまでですが、移動のストレスが減ると、腰の軽さそのものが変わる。住む場所を整えることは、時間と気持ちの余裕を整えることでもある——引っ越して、その当たり前に改めて気づきました。

明日から試せること

  • 玄関を、一か所だけ整えてみる。靴をそろえる、たたきを拭く——それだけで、家に入る気分が変わる。
  • 水回りのどこか一つ、たとえばシンクやまな板を、ぴかぴかに磨いてみる。小さな「巡り」が、よくなった気がする。
  • 「運が上がるか」ではなく、「自分が気持ちいいか」を基準に、家の一か所を片付けてみる。心地よさが、いちばんの開運。

完璧主義の人ほど、家じゅうを一度に整えようとしないこと。気になる一か所からで十分です。まず一か所。整えた場所の「気持ちよさ」が、次の一歩を、自然と連れてきてくれます。

根拠の話は脇に置き、片付けの後押しに

気をつけるとすれば、本書の「家のここが、運のここに対応する」という主張は、科学的に証明されたものではない、という点です。あくまで、ひとつのものの見方として楽しむのがよく、信じることを、自分に無理強いする必要はありません。信じなくても、磨いた場所の気持ちよさは残る。

また、スピリチュアルな語り口が苦手な人は、最初は構えてしまうかもしれません。そんなときは、「運」の話はいったん脇に置いて、「家を整えると、暮らしと心が整う」という、実用の部分だけを受け取る——そういう読み方で、十分に元が取れます。片付けへの、やわらかい後押しとして付き合うのが、ちょうどいい距離感です。

こんな人に効きそうか

なんとなく毎日がうまく回っていない気がして、暮らしを立て直すきっかけがほしい人。片付けや掃除が苦手で、重い腰を上げる「理由」がほしい人。そういう人に、楽しく背中を押してくれる一冊です。

逆に、根拠やデータを重んじ、スピリチュアルな前提をどうしても受け入れられない人には、合わないかもしれません。その場合は、純粋な片付け術や、住まいを整える実用書から入るほうが、しっくりくるでしょう。

読み終えて

何もない畳の部屋の隅に置かれた一鉢の緑。夕方の低い光で、葉の影が土壁に大きく伸びている。家が整うと心も整うイメージ

読み終えても一つ、半信半疑は残ります。「運を待つより、まず手を動かそう」——理屈より、その軽さのほうが後を引きました。家を整えることは、見えない運に頼ることではなく、自分の毎日を、自分の手で心地よくしていく、ごく具体的な行動です。その積み重ねが、結果として、良い流れを呼び込むのかもしれません。

まずは今日、玄関を一か所だけ整えてみる。帰ってきたときの、その小さな気持ちよさが、「家が変わると、自分も変わる」を、いちばん早く教えてくれます。

📖 『引き寄せる すごい「家」』 ケルマデック/ひすいこたろう

📕 Amazonで詳細を見る 🛍 楽天で詳細を見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました