友村晋(ともむら・しん)は、未来予測・テクノロジーをテーマにした執筆家・コンサルタント。AI・気候変動・人口動態・地政学・エネルギー転換などを横断する独自の視点で、現代日本のビジネスメディアで広く紹介されている。本書(2023/SBクリエイティブ)は、2045年(シンギュラリティ予測年)までに起こり得る48の“見たくない未来”を、データと根拠を引いて整理した未来予測集。
未来を予測する目的は、当てることではなく、備えること——本書全体を貫くトーン。
本書の48予測を、テーマ別に整理する
テーマ1 テクノロジー・AI(予測1〜12)
- 生成AIによる知識労働の半自動化、自動運転の本格普及、ロボット労働の社会実装。
- “AIに仕事を奪われる“という単純な構図ではなく、職種・年齢・地域で影響の出方が異なる。
テーマ2 気候変動・環境(予測13〜22)
- 1.5℃目標の達成困難、海面上昇、極端気象の常態化、水と食料の地政学。
- 日本独自の影響: 米作の北上、漁獲量変化、夏の労働環境の悪化。
テーマ3 人口動態・社会保障(予測23〜32)
- 日本の生産年齢人口の急減、2045年の高齢化率40%、社会保障費の構造的逼迫。
- 移民政策の議論、AIによる介護補完、年金制度の改革圧力。
テーマ4 地政学・経済(予測33〜42)
- 米中対立の長期化、台湾有事、グローバルサプライチェーンの分断。
- 日本の中間管理職的立ち位置: 米国経済圏とアジア経済圏の間で、どう生き残るか。
テーマ5 教育・働き方(予測43〜48)
- 大学の半数が消滅予測、“学位より資格”の時代、リカレント教育の主流化。
- 働き方は“プロジェクト型”へ。終身雇用は2045年までに事実上消える、と予測。
世界の未来予測本と並べてみる
本書は、Yuval Noah Harari『Homo Deus』『21 Lessons for the 21st Century』、Vaclav Smil『Numbers Don’t Lie』、Peter Zeihan『The End of the World is Just the Beginning』、Ray Kurzweil『The Singularity is Nearer』(2024)などと地続き。これら英語圏の未来予測本を、日本人読者向けに再構成した位置づけ。
YouTubeで「Yuval Harari」「Peter Zeihan」「Ray Kurzweil」と検索すると、英語圏の同テーマの第一線が観られる。本書を読んだ後、これら英語動画に進むと、世界視点での未来議論にアクセスできる。
明日からできる、3つの備え
1. 自分の“職種の未来”を、5年・15年・30年スパンで考える
今の仕事は、5年後にも存在するか。15年後は? 30年後は? 残るスキル / 消えるスキル / 新しく必要なスキルを紙に書く。
2. 住む場所を、長期視点で再評価する
気候変動・人口減少・災害リスク・水資源——30年後にも住みやすい地域はどこか。“今”の便利さで決めない視点。
3. 子どもの教育を、未来の労働市場から逆算する
大学卒業時、子どもは何歳か。その時の世界はどうなっているか。学歴・資格・スキル・人間力の優先順位を、未来から考える。
関連書と、読む順番
- 本書(まず日本人向け48予測)
- 『21 Lessons for the 21st Century』Yuval Harari(哲学的視野)
- 『The End of the World is Just the Beginning』Peter Zeihan(地政学)
- 『The Singularity is Nearer』Ray Kurzweil(テック超予測)
読むときに、気をつけたい点
未来予測は“当たり外れ”でなく“備える素材”として読む。48個の予測全部が当たることはない。重要なのは、“こういう可能性があると意識しておく”という心構え。悲観しすぎず、楽観しすぎず、準備する姿勢で読むのがちょうど良い。
こんな人に合いそう
- 40代以降、人生後半戦の地図を描き直したい人
- 子育て・教育・住宅購入で長期判断が必要な人
- 経営者・人事として、組織の長期戦略を考える立場
おわりに
本書を読み終えると、ニュースの見方が変わる。日常の小さな出来事が、48予測のどれと関連しているかが見えるようになる。“未来を読む筋肉”を鍛えるトレーニング本として、手元に置きたい。



コメント