毎日を変えたいと思って本を読んでも、翌日はいつもどおり。知識は増えているのに、生活はあまり変わっていない。そんなとき、さらに新しい知識を探す前に、今の行動を一つ見直してみる。『GREAT LIFE 一度しかない人生を最高の人生にする方法』は、その入口になる本です。
スコット・アランが、人生に関わる10の分野を100項目にまとめています。私がこの本の視点で振り返りたくなったのは、誘われるままに参加していた会食や、未経験だからと断っていた仕事でした。どちらも、自分には当たり前だった判断です。
100項目は、全部こなすための宿題ではない
出版社の紹介・目次によると、一項目は3分以内に読める短さです。扱う範囲は、仕事を進める力から、人間関係や心の平和まで。章立てを並べると、何を見直す本なのかが分かります。
- 自制心:衝動や習慣との付き合い方。
- 目標と生産性:望む方向と、日々の行動。
- 勇気と成功:恐れがある中での挑戦。
- モチベーションと自信:行動を支える気持ち。
- 前向きな心構え:出来事の受け止め方。
- ポジティブな思考とコミュニケーション:考え方と言葉の使い方。
- 健全な人間関係:人との関わりに向ける意識。
- 心の平和:落ち着いて過ごすための視点。
- お金と自由:暮らしの選択に関わるお金。
- 粘り強さと立ち直る力:つまずいたあとも進む力。
仕事が進まないときに、気合いだけを足せばいいとは限りません。人付き合いで疲れているのかもしれないし、そもそも目標が今の自分に合っていないのかもしれない。複数の面から暮らしを見られることが、本書の使いやすさだと思います。
私は、気になる項目から自分の一週間を振り返る読み方が合うと感じます。「知っている」で終わった項目ほど、実際にはどうしているかを考える。100項目を達成すること自体を目標にすると、かえって忙しくなってしまいます。

誘いを選ぶようになって、話をよく聞けるようになった
本書で挙げられる、人間関係を投資として捉える視点。私はこれを、相手から得られるものを計算するというより、誰との時間に、どう向き合いたいかを考えるきっかけにしたいと思います。
以前は、今後の付き合いのために参加したほうがいいだろうと、深く考えずに会食へ出ることがよくありました。断ると、付き合いが悪い、友達だと思っていない、と受け取られそうで気になっていたのです。年齢を重ねるうちに、その気遣いも出費も、負担になっていたと気づきました。
今は、誘ってもらったことには感謝しつつ、都合が合わないときや気が進まないときは、親しい相手でも無理をしません。会いたいと思って出かけるから、その場では心を開いて話を聞ける。私には、参加する回数を減らすことが、一回の時間を大切にすることにつながりました。
SNSで地域やホテルの情報を発信している友人からは、見る人の役に立つ情報を地道に届け続ける姿勢を学びました。私は、仕事に使えそうなAIやアプリの情報を紹介する。それぞれ違うことを試しているから、持ち寄れる話があるのだと思います。
ここで考えたいこと
役に立つ話がない時間は、無駄なのでしょうか?
もちろん、幼馴染とは何かを学ぶために会うわけではありません。同じ時期を過ごした思い出がよみがえり、会うだけで気分が上がる。こういう関係も、私には大切です。「有意義」を仕事や成長だけに狭めないことが、人間関係と心の平和を一緒に考えるうえで必要だと感じます。
「未経験だからできない」を、確かめられる問いに変える
本書の「勇気と成功」を、自分の仕事に引き寄せて考えると、挑戦する前から可能性を閉じていなかったか、という問いになります。著者のRise To The Occasionでのインタビュー紹介でも、恐れがある中で行動することや、自分を制限する思い込みがテーマになっています。
私にも、テニス関連の会社でMD業務を支援する話を、何度か断った経験があります。アパレルの店頭では長く働いてきましたが、数値管理の仕事は未経験でした。ところが独立してみると、興味のある分野の機会を、自分から閉ざしてしまうのはもったいないとも思えたのです。
経験がない分、条件は多少低いところから始め、仕事を通じて力を見てもらおうと考えました。PC作業がまったく苦手なわけではなく、英語もある程度使えた。紹介してくれた友人が社内におり、上長にも質問しやすかった。その土台があったことは、挑戦を振り返るうえで外せません。
まず何を教わる必要があるか、今持っている力のどこが使えるか。そう分けて考えると、漠然とした「できない」が、確認できる課題になります。後には直営店に関わる場面で、店長やスーパーバイザーとしての経験も役立ちました。新しい分野へ入って初めて、過去の強みの使い道が見えてくることもあるのですね。
自信は、エラーの理由が分かるたびに育っていった
「モチベーションと自信」と「粘り強さと立ち直る力」は、私にはつながって見えます。始める前に十分な自信がなくても、試して分かることが一つずつ増えれば、次に手を動かす理由になるからです。
MDの支援では、数千点の商品を扱い、ある表の商品情報を別の表へ紐付ける作業が頻繁にありました。友人からVLOOKUPなどを教わりましたが、最初は理解が難しく、YouTubeを何度も見直していました。
動画を見るだけでなく、実際の表で試す。エラーが出たら、なぜそうなったかを振り返る。その繰り返しで、少しずつ正しい扱い方が分かり、VLOOKUPやXLOOKUPを普段の仕事で使えるようになりました。今ではAIの助けも借りていますが、間違いを見直して覚えてきた経験は残っています。
私の場合の粘り強さは、同じことをただ繰り返すものではありませんでした。つまずいた場所を確かめ、やり方を直し、また試す。読者が新しい勉強を始めるときも、「まだできない」だけで終わらず、前より何が分かったかまで見てみると、続け方を考えやすくなると思います。

やりたいことの輪郭は、始めたあとにも変わる
本書には、望む未来から人生を考える視点があります。ただ、目標を考えることと、最初から全てを決めることは違うはずです。著者のFreedom Nation Podcastの出演回の紹介でも、出版を続ける中での適応や、新しい方法を取り入れることが取り上げられています。
このブログも、入口はドメインの取得とサーバー契約でした。動画などを見ながら一つずつ進め、サイトが形になるにつれて、何を書くか、誰に届けたいかを考えるようになりました。始める時点で、発信の設計が完成していたわけではありません。
今、届けたいと思っているのは、組織で働くことに窮屈さを感じている人です。私の経験と本の知識が、働き方を考えるヒントや、気持ちが楽になるきっかけになればうれしい。これから方向性が変わる可能性もありますが、実際に続けているからこそ考えられることがあります。
アラン自身も、The Author Factorのインタビューで、初期の本は完璧ではなく、反応を受けて改善してきたと話しています。一方で、新しい企画を増やしすぎ、既刊に十分な手をかけられなかったという振り返りもあります。行動を勧める著者にも、始めたあとの修正がある。その話を知ると、完成を待たずに始めることと、雑に済ませることを分けて考えられます。
自由な時間を、成長の義務だけで埋めない
本書の前向きな提案は、動きたいときには背中を押してくれます。ただ、余裕がないときに100項目を自分への注文として読むと、苦しくなる人もいると思います。暮らしの条件は人によって違いますし、気持ちを変えるだけで全てが解決するわけでもありません。
私も独立して、自分で決められる自由を感じましたが、価値を提供しなければ生活できないという責任も引き受けました。自由には、何に時間を使い、何を学ぶかを決める仕事も含まれていたのです。会社員として組織を支え続ける人への敬意もあります。独立することが、誰にとっても同じ答えになるとは思いません。
そして、家で家族とそれぞれの作業をしながら会話する時間も、私には十分に有意義です。休んだり、何もしなかったりする時間まで、成果で採点したくはありません。目標やお金の章と一緒に「心の平和」が置かれている本だからこそ、何を増やすかだけでなく、何を守りたいかも考えたいところです。

今の強みと、試せる場面を一つ書いてみる
本を読んだあとに一つだけ動くなら、私は「自分ができること」と「それが役立ちそうな場面」を一組、書いてみることから勧めたいです。私なら、店頭でお客様の話を聞いてきた経験と、直営店の接客を支援する仕事。その組み合わせは、別の環境へ入ってから見えてきました。
大きな資格や特別な実績だけでなく、普段頼まれる作業でも構いません。その強みが使えそうな仕事について、詳しい人に話を聞く。足りない部分を小さく練習する。今の暮らしを全て変える前にも、確かめられることはあります。
『GREAT LIFE』は、一つの技術を詳しく教える専門書ではありません。考え方、行動、人との関係を見渡して、今どこから手をつけるかを探す本です。気になった項目を一つ、自分の具体的な場面に置き換えてみる。そのために手元に置いておきたい一冊でした。
📖 『GREAT LIFE 一度しかない人生を最高の人生にする方法』 スコット・アラン



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