『ロードマップ』MB|先に「ゴール」を決めてから逆算する生き方 (2025)

『ロードマップ』MB 表紙 学び・自己成長
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「頑張っているのに、なぜか報われない」。その原因を、努力の量ではなく“地図のなさ”に置いたのがこの本です。著者のMB氏は、地方のアパレル販売員からEC事業を年商数億円に育て、独立して複数の事業を手がけるようになった実業家。ファッションの発信で知られる人ですが、本書は服の本ではなく、「どう生きるか」を設計するための一冊です(2025年・扶桑社)。

人生がしんどいのは、努力が足りないからではなく、“どこを目指すのか”という地図(ロードマップ)を持っていないから。まずゴールを決める。話はそこからです。

夜明けの高原で、一本の道が遠くの山頂へ続く — ゴールから逆算するロードマップのイメージ

本書の骨格

4章立てです。「奴隷と王様の違い」「わかっていても人は動けない」「僕たちはどう生きるのか」「自分らしく生きていこう」。他人の基準に縛られた“奴隷”の状態から、自分でゴールを決める“王様”へ——というモチーフが全体を貫きます。地図のない努力は、量では取り返せない。

心に残るところ

  • マラソンのたとえ——42.195kmというゴールが決まっているから、人は苦しくても走り切れる。ゴールのないマラソンは、ただの罰ゲーム。人生も同じでは、という問いかけです。
  • 「奴隷」と「王様」——他人の物差しで動くか、自分で目的地を決めるか。能力ではなく、姿勢の話として描かれます。
  • 持たざる者の戦い方——正面から競争せず、自分だけの“生存領域”を探す。センスがないからこそ、ない人の気持ちがわかる、という著者の立ち位置。
  • 1日1時間——毎日1時間を積めば年365時間。逆算を、現実的に動ける粒度まで落としてくれます。
  • 「こうすべき」ではなく「こうしたい」——他人の期待ではなく、自分の“したい”からゴールを引く。

私の場合も、ゴールが先でした

「奴隷」と「王様」という対比には、思い当たる節があります。私も40歳を過ぎるまで、他人の物差しのなかで走り続けていました。独立を決められたのは、能力が急に上がったからではなく、「より自由になる」と目的地を先に決めたからです。順番はたしかに、ゴールが先でした。

独立前に取った、古物商という保険

著者の言う“生存領域”に近い働きをしてくれたのが、独立前に取っておいた古物商の資格です。派手さはなくても、「最悪、20年の目利きで古着を売って食べていける」と思える小さな領地があるだけで、逆算した計画は現実味を帯びてきます。

目的地のない船に、十一ヶ月

逆算の大切さは、その反対をやってしまった経験からも感じています。新卒で入ったのは、四国の製紙工場でした。就職氷河期のさなかで、自分を評価してくれた会社だったこと。それに、「紙という素材は、いろんなものに化けていくのではないか」という素材メーカーへの淡い期待。入社の理由は、その程度でした。目的地を決めないまま乗り込んだ船は、十一ヶ月しかもちませんでした。

東京に戻ってから、ようやく「自分は何をやりたいのか」を真剣に考えました。順番を間違えたぶんだけ遠回りをしましたが、ゴールを先に置くという癖は、たぶんこのときに芽生えています。本書が「まずゴールから」と繰り返すのは、この遠回りを一度でも減らすためなのだと思います。いま走っている方向を、あなたはいつ決めましたか?

今日から試せること

  • 紙に、5年後の「こうなっていたい」を、他人にどう見られるかは抜きにして書き出してみる。
  • そのゴールから逆算して、「毎日の1時間」で何をするかを1つだけ決める。
  • いまの不満を、「誰の物差しか(自分か・他人か)」で仕分けしてみる。
木のテーブルに広げた地図と真鍮のコンパスの水彩イラスト — ゴールを定めて逆算する旅の始まりのイメージ

理論の新しさより、当事者の実感で押す本

枠組み自体は、ゴールから逆算する——「終わりを思い描くことから始める」という有名な習慣論とも重なり、真新しい理論ではありません。本書の持ち味は、それを“才能も人脈も資金もない前提”で、泥くさく具体化しているところ。もともと著者の音声配信がベースなので、すでにファンの人には少し重複感があるかもしれません。データや出典より、当事者の実感で押していくタイプの本です。

こんな人に

毎日をなんとなく走っていて、ゴールを見失っている気がする人。「もっと上を目指せ」という煽りには疲れたけれど、自分なりの方向は持ちたい人に。

おわりに

派手なノウハウ本ではありません。ただ、「まず自分のゴールを決めていい」と静かに背中を押してくれます。走る速さより、どっちに走るかを一度立ち止まって考えたくなる、そんな一冊でした。

著者と同じアパレルの現場から出発した身として、地図さえあれば歩き出すのに特別な才能はいらない、という励ましを実感として受け取りました。

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