『リユース革命 「使わない」モノは「今すぐ」売りなさい』木暮康雄|「使わないモノ」がそのままお財布に見えてくる本 (2020)

『リユース革命 「使わない」モノは「今すぐ」売りなさい』木暮康雄 表紙 ビジネス・経営
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「使わないモノはすぐ売る」。著者の木暮康雄氏は、リユース査定市場のプラットフォーム「ウリドキ」の創業者。本書は単なる断捨離本ではなく、フリマアプリ普及以降に変わった「モノとお金の関係性」を、業界の中の人として書ききった一冊です。

モノを「持つ」時代から「めぐらせる」時代へ。リユース市場はすでに年間数兆円規模、循環が前提のマーケットになった。

本書のキーメッセージ

日本のリユース市場は右肩上がりで拡大しています(リフォーム産業新聞調べ)。スマホでフリマアプリを開けば、誰でも数分で出品できます。「捨てる前に売る」が当たり前になった社会で、個人と企業の両方にチャンスがある——というのが本書の中核。著者は単なる節約論ではなく、ビジネスとしてのリユースの伸びしろを丁寧に解説します。いま家にある「使っていないモノ」を、五つ思い出せますか?

読みどころ

  • なぜ今リユースなのか——SDGs文脈とZ世代の消費観の変化。「中古は恥」が「中古は賢い」に反転した経緯。
  • 個人がリユースで得する仕組み——衣類・家電・本・ブランド品の換金相場と、出品タイミングのコツ。発売直後ほど高値で売れる「鮮度」の概念。
  • リユース業界の地図——BOOK・OFF、メルカリ、ヤフオク、ウリドキ、業界内ポジションと棲み分け。
  • プロが教える売却術——写真・タイトル・タイミング。プラットフォームごとに最適化される売り方。
  • これからのリユース——AI査定、サブスク型レンタル、CtoCの拡大予測。
明るい窓辺の部屋で、本や衣類が次の人へ渡るように丁寧に箱へ納められている水彩イラスト

今日から試せること

  1. クローゼットを開き「1年触っていないモノ」を5つピックアップ。フリマアプリで相場を調べる。
  2. 本・ガジェット・ブランド服はそれぞれ異なるプラットフォームが強い。アイテム別に出品先を分ける。
  3. 新しく買うときは「2年後の売却額」も視野に入れる。リセールバリューを意識した買い物に変える。

一枚の紙ができるまでを、見たことがある

使わないモノを次に回していこう、という本書の主張が腑に落ちるのは、たぶんモノが生まれる側を一度だけ見たからです。新卒で入ったのは四国の製紙工場で、紙の原料になる木材チップや古紙を仕入れる部署にいました。

そこで知ったのは、何気なく使っている一枚の紙が、天然資源からいくつもの複雑な工程を経て出てくるものだ、ということでした。木を砕いてチップにし、薬剤でパルプを取り出し、白くして、抄いて、乾かす。工場のあちこちには、人体に有害であることを示す表示が出ていました。紙はエコロジカルな素材だという漠然としたイメージは、あの十一ヶ月でなくなりました。自然からそのまま生まれてくるのではなく、資源と手間と危険を引き受けたうえで作られているものだったのです。

だから、まだ使えるモノを次の人に渡すという発想には、得か損かを超えた重みがあると感じます。一度作られたものをもう一巡させることは、その裏側にある工程を、もう一度払わずに済ませることでもあるからです。捨てるとは、その工程ごと捨てることです。

プロが見る「値が落ちない物」の条件

中古市場で価値が落ちにくい物には、はっきりした条件があります。長く業界にいた立場から言えば、要点は三つです。まず、明らかに希少で、そもそも数が少ないこと。次に、作り手やブランドが信頼に足ること。そして、世界的に名が知れ渡っていること。この三つがそろった物は、時間が経っても——ときには時間が経つほど——価値を保ちます。

「使わないなら今すぐ売れ」という本書の主張はその通りですが、逆に言えば、この条件を満たす物は、あわてて手放さず持っておく判断もあります。売り時と持ち時の見極めは、モノの本質的な価値を知っているかどうかで決まります。

服にも、値が落ちにくい一着とそうでない一着があります。その差がどこから生まれるのかは、服部晋氏の『洋服の話』が仕立てと素材の側から教えてくれます。

古物商の資格を取ったときに、見えたこと

サラリーマン生活に終止符を打とうと考えたとき、それまでの仕事に関連した資格をひとつ持っておきたいと思いました。独立を視野に入れて、ラグジュアリーブランドに勤めながら古物商の資格を取ったのはそのためです。

手続きは、地元の警察署に何日かに分けて通うところから始まりました。わからないことだらけで、事前にネットで調べては窓口で質問し、足りない書類をまた用意して、という往復です。申請から許可が下りるまで、全体でおよそ一か月かかりました。

それでも、面倒だとは感じませんでした。独立に向けた最初の具体的な一歩だったからです。書類を一枚ずつ揃えていく作業に、心が躍っていたのを覚えています。

同じラグジュアリーでも、落ち方はまるで違う

中古市場を見てきて実感するのは、同じラグジュアリーでも、リセールバリューの落ち方がまったく違うということです。セールを行わないトップブランド——ルイ・ヴィトンやエルメスなどは、価値が落ちにくい傾向がはっきりしています。一方で、ラグジュアリーとされていてもアウトレットを展開しているブランド、たとえばプラダやグッチなどは、リセールバリューが大きく下がります。トップ以外は、長期的な価値を担保しづらいのが実情です。

値を守るのは、セールをしない設計

この差を生んでいるのは、品質だけではありません。ブランディングとマーケティングが、どこまで徹底されているかです。セールを行わない。扱う店舗を、ほぼ直営店以外には広げない。そうやってデリバリーの管理とクオリティのコントロールを崩さないブランドほど、時間が経っても値が落ちないのです。

本書は「使わないなら今すぐ売れ」と説きます。基本はそのとおりです。ただ、いま挙げた条件を満たす物については、あわてて手放さないという判断もあります。売り時を計るには、そのブランドが価値をどう守っているかを知っておくことが役に立ちます。売る前提で買うものを選ぶという話は、見栄への出費を手放すという視点の側から書いた記事ともつながります。

一割か、五割か——戻ってくる額の相場観

では、実際にどれくらい戻るのか。一般的なブランド品であれば、定価の一割ほどというケースも少なくありません。逆に五割以上が残るなら、それはリセールバリューが高い部類に入ります。この幅を知っているだけで、買うときの気持ちはずいぶん変わります。

値付けの変数は多く、きれいにランク分けするのは難しいところがあります。それでも一般的には、状態が大きな要因です。ダメージの具合、匂い、型崩れ。見る点はいくつもあります。正規のルートで手に入れた正規品で、しかも新品未使用であれば、条件としてはいちばん強い。

ただし、古いほど安いとは限らない

ただし、現行品であることが絶対でもありません。昔のものであれば、状態がさほど良くなくても、その希少性や不変性から現行品以上の値がつくことがあります。革の傷なども、メンテナンス次第で味になったり目立たなくなったりするので、必ずしも大きなマイナスとは限りません。

読むときの注意

2020年12月出版。手数料・送料は各プラットフォームの最新公式ページで確認した方が安全。本書は「考え方の地図」として読むのが正しい使い方。

こんな人に合いそう

  • クローゼットや本棚に「使っていないけど捨てられない」モノが溜まっている人
  • 個人ビジネスや副業として、循環型ビジネスに興味がある人
  • 子供のおもちゃ・服など、家庭から出る大量のリユース候補を効率的にさばきたい家庭
柔らかな光の棚に、使い込まれた革鞄と機械式腕時計、手入れされた靴が並ぶ水彩イラスト

おわりに

モノを売る・買うの境目が、世代を追うごとに溶けていく。本書を読むと、家の中の「使っていない棚」がそのままお財布に見えてきます。消費から循環へ、頭の中の前提を更新するきっかけになる本です。

📖 『リユース革命 「使わない」モノは「今すぐ」売りなさい』 木暮康雄

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